POPSにも果敢にチャレンジ!クラシック作編曲家 かずまるの音楽日記

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楽器の特性からのアプローチによるピッチ(音程)改善のヒント ~金管楽器編~

 

以前、倍音列ごとのピッチの特性を記事にしましたが、ちょっと抽象的なものだったと思うので、少し掘り下げて書いてみようと思います。

ちなみに、手っ取り早く知りたい人に向けて。。。

鬼門はレ、ミであると申し上げておきます。(トランペットの場合の第四線と第四間のもの)

もう少し詳しく知りたい方は続きをお読みいただければ幸いです。

 

楽器の特性からのアプローチによるピッチ(音程)改善のヒント ~金管楽器編~

 

 

 

まず、概論です。

理想的で自然な奏法では音程はめちゃくちゃになってしまう

以下、いろいろ誤解を恐れずに書きます。ちゃんと理解をしたい人は、調律の違いなどもよく理解してくださいね。

大前提として、金管楽器は音痴な楽器である。という理解をした方がよいかと思います。

例外としては、その管の調。例えば、B♭管トランペットで、B ♭ メジャー(変ロ長調)などで、その調の基本的な和音に属する音をバルブなしで演奏する場合において、純正律にそった音程を演奏することが可能です。

 

ただし、それ以外のほとんどのケースと平均律で考えた場合は、コントロールしないと想定したピッチからは外れた音になります。

 

そして、その外れた音程を作り出す原因は2つあり、1つ目は「倍音」2つ目は「補正管の総合的な長さ」です。

2つ目はよく知られていることだと思いますが、1つ目は意外と見落とされがちかと思います。

 

以下、その2つの原因と理由を説明してみたいと思います。

音域別の大まかな特性

トランペットをイメージして、音域別、音程の癖をイメージ図にしてみました。

金管楽器の各音域別、音程の癖

金管楽器の各音域別、音程の癖

上図の〇で囲まれた音から棒が伸びている間までが、音程の特徴に属する部分です。

例えば、ヘ音第二間のド~ト音下第一線のド、第三間のドから下がってソ#までは正しい音程(低くも高くもない音程が出る)

といったようなイメージです。

 

五線譜の線と間の名称は下記をご参照ください。

ja.wikipedia.org

上図の赤と青の部分が平均律から比べると音程が外れる部分で、特に青の部分の下がり方はかなり顕著です。

 

こちらは、例えばですが、金管楽器の第四間のミは純正律をもとにした音程がなるためであり、平均律の差が著しいミの音が音痴になる所以です。

 

最初に鬼門はレ、ミであると申し上げたのはこの図にて説明した部分に由来するもので、平均律と純正律でソの差はわずかであるにも関わらず、ミにおいては、その差はとても大きいものです。

 

ただしかし、この特性、はまるととてもいい方向に作用するのも事実なんです。

 

例えば、Bbメジャーの曲の最後に、トランペットやトロンボーンが第5倍音にあたるミ(実音D)を演奏するときなんかは、自然と純正律に沿った、きれいにはまるミの音が演奏できるから。であります。

 

ちなみに、金管楽器で、低いミ(例えばト音記号第一線のミ)と高いミ(ト音記号第四間のミ)は音程についてはまるで逆、すなわち低いミは(バルブのことも相まって)音程が高めになりがちで、高いミは音程が低くなりがちということは非常に留意すべき点であるかと思います。

 

一点補足です。

第7倍音は低いためあまり使われないというケースが多いかと思います。

例えば、高いラの音(上第一線のラ)を第1+第2で採るときは第8(上第2線のドから下がってきた音で)採っています。第7倍音を使う場合は第2バルブのみ(上第1線のシ♭から半音下がってきた音で)採っています。

バルブ別の大まかな特性

前の段では、倍音別の音程の特性について触れましたが、金管楽器のバルブシステムに起因する音程についても触れるべきかと思います。

 

たくさん押すほどその音の音程は高くなりがち

金管楽器のバルブですが、基本的には以下の通りの補正ができるものとなっています

  • 第1バルブ:全音下げる
  • 第2バルブ:半音下げる
  • 第3バルブ:1全音+半音下げる(ただし、やや低め)

 

ここで、「第3バルブは1全音+半音ぴったりさげるんじゃないの?」と思われたかたがいらっしゃるかと思いますが、実は違うんです。

そもそも第3バルブの長さは第1+第2のバルブを足したものより長く、さらに、1全音+半音下げるために第1+第2バルブを使うことがあるかと思いますが、実は長さが足りません

 

え、「1全音+半音に全音のバルブと半音のバルブを足しているのになんで?」と思われた方、音程は等比(曲線のグラフ)の形となっているということを思い出してみてください。

 

蛇足ですが、Bbトランペットとトロンボーン(Bb)の管の長さは2倍になるはずで、前者と後者で1オクターブの音程差があります。

つづいて、トロンボーン(Bb)とBbチューバの管の長さは2倍になるはずで、前者と呼応者で1オクターブの音程差があります。

 

さて、これをトランペットとチューバで比べた場合、前者と後者の管の長さは4倍異なりますが、オクターブの場合は2オクターブとなり、ド3つ分異なることになります。

 

かりに、ピッコロトランペット(Bb)があったとして、それとチューバ(Bb)の管の長さは8倍になりますが、オクターブの差は3つ分となり、ド4つ分異なることになります。

 

これでピンときた方もいるかと思いますが、バルブについては「等差」ではなく「等比」で変化させないと正しい音程が作れない。ということがお分かりになったのではないでしょうか?

 

なので、例えば、トランペットの3番バルブには管を伸ばすための補正装置(時々1番バルブにもついている)し、トロンボーンのポジションは等間隔ではないし、ユーフォニアムやチューバにおいては、第1+第3の運指の代わりに第4バルブを使ったりするわけです。

 

個人的に、こちらの記事はとても参考になります。

ご一読をお勧めします。

www.hi-ho.ne.jp

 

金管楽器は半分は自分で音程を作らなければならない楽器である

ここまで読んでいただければすでにお分かりかと思いますが、金管楽器という楽器は、おおよその音程の目安となる補正装置はついているものの、それだけでどんな音にも対応しているわけではなく、「自分で音程を作らなければならない楽器である」ということがお分かりいただけたと思います。

 

これを踏まえると、例えば、音程を低めに取った方がいい場面だけれども、音程が高めになってしまう音やその逆のパターン、そんなものが楽曲のいたるところにちりばめられているといえると思います。

なので、この記事で述べた楽器の特性と、楽曲で求められる音程、その両方を意識して取り組むのがよいかと思います。

 

何も考えずに自然に吹いたら、「どんな上手な人が吹いたとしても、音痴な楽器である!」というのを念頭に演奏すると、もしかしたら必要以上に自分を責めずに楽しく取り組めるかもしれません。

 

蛇足:コンペイセイティングシステム

補正管に関連して、こぼれ話を一つ。ユーフォニアムの高級モデルでは4番バルブが横並びでなく、左手で操作する位置にあるものがあります。

これは、単に、通常の4番バルブの一度移動させたものもありますが、コンペイセイティングシステムといって、ベースとなる管の調正を変更させる仕組みがそなわったものがあります。

いわゆる、ホルンのセミダブルと同じ仕組みで、よくあるのは、第四バルブを押下すると、Bb管からF管に変化させるタイプのものです。

 

このタイプの楽器の場合は、F管にした場合のみにBb管からF管にベースの管長が拡張されたものに対応するための迂回管が各バルブに追加されています。

F管になった時かつバルブを押下した時のみ、使われる管がたいてい、バルブの後ろ側についています。

 

これも、等差でなく等比であるための構造となっています。

 

もし、学校の楽器をお使いの方で、自分が使っているのはどっちなんだろう?と思ったら、バルブの後ろ側を見てみると判別できるかもしれません。

 

 

なお、単なる拡張管としての4番ピストンなのか、コンペイセイティングシステムなのか、でLow Fより下の音程のコントロールのしやすさが変わり、特にLow B(Low H)の出しやすさが両者で全くことなるはずです。

課題曲に選ばれました

スマホ動画による ニュースタイル・ソロコンテスト

コロナウイルスの影響で吹奏楽関連のコンクールが軒並み中止になるなか、愛知県吹奏楽連盟さんが独自のコンクールを立ち上げました。

aiba.cloud

今回はそれに関連する記事です。

 

コロナ禍の状況下での画期的な音楽コンテスト

その名も「スマホ動画による ニュースタイル・ソロコンテスト」です。ちょうどこの時期にふさわしいスタイルで、審査についてはあらかじめ用意された音源に合わせた演奏動画を用いるとのことです。中学校の時に参加したTBSこども音楽コンクールの一次審査に似てますね。この方法であれば、仮にコロナウイルスが大蔓延している場合においてもコンテストに参加することが可能ですよね。

対象は小学校6年生、中学校3年生、高校2,3年生、大学、一般とのことで、大学一般以外は主に卒業年度の生徒さん対象のコンクールとなっています。おそらく、参加人数を考えての線引きだと思うのですが、最後の年に吹奏楽コンクールに出たくても出られなかった生徒への救済になっているのではないでしょうか。

このソロコンテストですが、管楽器はもちろんのこと、コントラバス、打楽器での参加も可能ということがとても大きいと思います。特にコントラバス。個人コンクールは吹奏楽連盟の支部単位で開催されていますが、これにはコントラバスが含まれていないことがあります。真偽のほどは定かではありませんが、「コントラバスの生徒さんは編成の他の楽器との違いに疎外感を持つことがある」なんて話を聞いたことがありますので、吹奏楽に通常組み込まれている楽器がすべて対象であるという点も大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

折角救済イベントがあったのに、対象外であった。。。なんてことになったら悲しすぎますよね。

なお、コロナウイルスの状況によっては、音楽ホールでの本選も予定されているようです。生演奏を披露&聞くチャンス!

 

非常に難しい状況において、試行錯誤しイベントを企画している愛知県吹奏楽連盟の皆さんには非常に頭が下がります。成功をお祈りしております。

 

課題曲に選ばれました

さて、なぜこのイベントを記事に取り上げたのかと言いますと、タイトルにもありますとおり課題曲の一つとして2曲取り上げられることになったからなのでした。

曲についてはこの記事の最後の方でご紹介します。

この課題曲に選ばれた2曲ですが、もともとはコンテストの課題曲として作ったものではありませんでした。

ただただ、このコロナ禍の中でも使える音楽作品を作ってほしいとの依頼で作ったものでした。それがこのような形で日の目を見ることになってとてもうれしく思っております。

 

2020年8月19日まで無料で入手可

課題曲の取り扱いについては、いつもお世話になっているティーダ出版さんが取り扱っております。

ティーダ出版はこのイベントの協力企業になっているようです。

www.teeda-japan.com

ちなみに、課題曲のダウンロードは、なんと、2020年8月19日まで無料(2020年7月1日現在の情報)です。

このイベントに合わせた取り計らいだと思います。吹奏楽関連の出版社さんは軒並みどこも大打撃を受けていることと思いますが、だからこその今、無料なんだと思います。

どうぞ応援してあげてください。わたしも応援して(小声、震え声)

 

ユーザー目線としても、無料で入手できるのはチャンスです!デメリットといえば端末の容量を少々圧迫するかなくらいではないでしょうか?

ということで、この期間に是非ダウンロードしてみてください。

 

なお、本選がホールで開催されることになった場合、伴奏については音源利用以外に生演奏も可能になる予定です。

ということで、愛知県在住のピアノ弾きの皆さんやピアノが弾ける生徒さんも、もしかしたーらこの課題曲に触れる可能性があるかも?ということで今のうちに手に入れておくといいかもしれません。

 

ちなみに、課題曲は8曲あります(小中校生はこのうちの4曲、それ以外は8曲の中から1曲選ぶことになっております)。

保存せずともちらっと見ていくことも可能ですよ。一見の価値ありです。

 

拙作課題曲紹介

さて、最後に私作曲の課題曲のご紹介をば。今回は2曲採用していただきました。難易度とおそらく曲調から高校生以上向けの課題曲となっております。コントラバスに関しては難易度が全く測れませんがそこそこ難しそうな印象ではあります。ちなみに伴奏のピアノはソロ楽器よりももっと難しいことが予想されます。

どちらの曲にも、「コロナ禍以前の穏やかだった日々を胸に、もしかしたらもう元には戻らないかもしれないけど、それでも美しい思い出を忘れずに生きていこう」というような気持ちを込めています。

では、詳細をどうぞ。

 

思い出の回廊

作曲の経緯や詳細についてはこちらの記事で触れています。

今回は

  • Bassoon
  • Bb Clarinet
  • Bass Clarinet
  • Tenor Saxophone
  • Baritone Saxophone
  • Trumpet
  • Horn
  • Tromone
  • Euphonium

の課題曲の1つになっています。

www.petit-orchestra.jp

 

 

動画のリンクだけはこちらにも貼り付け

 

クラリネットでコラボ演奏をしてくださった方もいらっしゃいます。

www.youtube.com

木漏れ日の日々

こちらの記事で紹介した曲です。

www.petit-orchestra.jp

知り合いの病理の方に「変態性のある曲だ」(!?)と言わしめたもののようです。

今回は

  • Tuba
  • StringBass

の課題曲の1つになっています。

 

こちらも音源を貼ってみます。動画で楽譜の様子がちらっと見えます。サンプル楽譜を使っているので一部見づらいところがありますが、ご容赦ください。

オリジナルのコントラバスの譜面

www.youtube.com

 

チューババージョン、コントラバスと比べて長2度下に移調しております。

www.youtube.com

 

 

みなさんの音楽ライフが充実したものになりますように。

吹奏楽のためのタランテラ

ずっとご無沙汰ですが、自作お披露目(恥さらし)シリーズです。

 

音楽ブログなので、本来のあるべき姿ではあるのですが、なかなか音源の準備もできないし、最近はそんな書いてないし(爆)

 

でも、それではいかんと音源をさくっとアップロードしてみました。

 

今日は(も)時間が無くなってしまった(ダイエットのための運動の時間とか、諸事情で必要になる音源作ったりとか、ピアノのさらいとか、さらいとか、さらいとかで結構時間が取られてしまうのです…な)ので、導入記事って感じで、音源と裏スペック(?)的なものをさらっと書いてみようかなと思います。

 

音源はこんなんです。

www.youtube.com

 

作った経緯としましては、某作曲賞(この名称で吹奏楽界隈の方はぴんとくると思いますが…吹奏楽のほうの朝日作曲賞です)応募用に作ったものです。

結果的には辛くも2次敗退という...

これまでの経験上、1次通ったら最終まで行っていたので、「うわ。。。新しい展開だ...期待してたのに...」と1次落ちよりもよっぽど悔しかった覚えがございます。

最終審査で落ちるのが一番悔しいんだけれどもね...

 

 吹奏楽の朝日作曲賞、審査過程はここのところ3段階あります。(去年は出してないからわからないけど…)

  • 1次審査:フルスコア審査
  • 2次審査:音源審査
  • 最終審査:試奏審査

で、これは1次審査は通ったので、譜面チェックの段階で曲の作りはクリアしていたのかな???と個人的には思っています。(前向き)

 

実際、2次審査落ちという不名誉な結果を持ってはおりますが、出来は割としっかりしていると個人的には思います。

 

昔作った曲を聞きなおしてみると、展開が唐突であったり、展開しきらずにしぼんでしまったり、長さが足りなかったり、逆に長すぎたり、と「あぁ、若いな」とか「いまいちな出来だったんだな」と思う部分があったりするのですが、これはそういうほとんどないと思います。

 

とは言っても、突っ込みどころはあるんですけれどもね。(後半の戻し方がもう少し工夫できたかな。。。とか)

もちろん、適切な理解をもって実演されれば印象が変わるでしょうけれども...

 

ということで、気に入るか気に入らないかというと、気に入る方に入る方の楽曲であったりします。

 

で、なぜこれを実演しなかったのかといいますと...「曲が短い」と言うのと、「曲調が自分が所属していた楽団には合わないかな」というのが理由です。

 

わたくしが古風なのがいけないのですが、「しわしわネーム」みたいな曲だと思うんですよね。

キャッチーな響きとか派手さには欠ける曲かなと。

 

ただ、噛めば噛むほど…的な面は持っていると思いたいです。

 

自分がそういう曲が好きだから、どうしてもこんな感じになってしまいますね。

理屈っぽくトラップのある曲、からくり時計のような曲を目指して作ってます。

そうなっていればよいのだけれども...

 

そんでもって、好きな曲の影響は受けてるという...最後なんかサンサーンスのサムソンとデリラのバッカナールみたいだし(作ったときも意識した)、中間部でドラクエの大事なアイテムを見つけたときの効果音(?)みたいのも聞こえるし...

いや、パクってないですよ。音3つをあの音程で繋げたらそうなっちゃうんです。

しかも、あれはパクリではなくて、中間部の動機を縮めたものだから…誤解のなきよう。

 

どうしても流行りの曲にはならないのですが、音出しはしてみたかったなとうっすら思ってはおります。

 

とまぁ、割と気に入ってる側の曲だし、最近ネタがない(というかあるんだけれども、完成させられない…)ので、分析記事も近日アップしてもようかなと思います。

完全自己満足記事になりますが、分析して突っ込みとかしてみると面白いかなと。

 

作り手がなにを考えているかって興味あったりしませんか?

私はそういうの好きなので…(もちろん、好きな曲じゃないと興味持ちにくいので、あれではありますが…それを気にしちゃ何も書けないので、書くよ)

 

 

ということで、今日はこれにて。

スコアの読み方入門 吹奏楽編

 

 

 

 

 

スコアの読み方入門

なぜスコアを読めたほうがよいのか?

他のパートとの組み合わせで旋律ができる曲の例。

基礎知識

スコアリーディングをするにあたって、初心者向けの基礎知識の章です。とは言っても、楽典の基礎知識(音符やら拍子やらの話)はすっ飛ばしておりますので、ご了承ください。

あくまで、総譜を読むという観点の基礎知識です。

いずれか基礎知識の記事も書いてみたいものですが…

 

上から、木管・金管・打楽器

ざっくり申し上げますと、木管・金管・打楽器の順番で並んでいます。

こんなイメージです。

スコアの並び順の例(木管)

スコアの並び順の例(木管)

スコアの並び順の例(金管)

スコアの並び順の例(金管)

見出しには書きませんでしたが、コントラバスは通常金管と打楽器の間に書かれます。

大体の位置関係を覚えておくと、探す手間が省けることでしょう。

 

ならび順の一例です。

  • Piccolo* Fluteと逆のこともある
  • Flute*  Piccoloと逆のこともある
  • Oboe
  • Bassoon* Clarinet属の下に来ることもある。(おそらくオーケストラの順番に倣っている)
  • Clarinet in Eb
  • Clarinet in Bb
  • Alto Clarinet
  • Bass Clarinet
  • Soprano Saxophone
  • Alto Saxophone
  • Tenor Saxophone
  • Baritone Saxophone
  • Trumpet* Hornと逆のこともある。オーケストラではほとんどHornがTrumpetの上
  • Horn* Trumpetと逆のこともある。オーケストラではほとんどHornがTrumpetの上
  • Trombone
  • Euphonium *Baritoneと書かれることもある。 (パート譜にin Bbト音記号が含まれる場合も)
  • Tuba
  • Contrabass *別名多し。Stringbass, Doublebass, String Double Bass etc... 
  • Percussions

速度標語の書かれる場所に注意

速度標語はとても大切なものでありますが、スコアにおいては一番上だけのことも多いです。あっても、木管と金管の間、金管と打楽器の間に追加されるくらいです。

全部のパートにずらっと書いてあると見づらいですよね?ということで、こんな書き方になっています。

CodaマークやD.S. カッコなども同じことが多いです。

 

また、古い楽曲のスコアでは時々強弱記号も省略されていることもありますので、ご注意ください。

 

組段が省略されることがある

最近の吹奏楽のスコアではあまり見かけませんが、昔のオーケストラの特にポケットスコアではよくあります。

例えば、パート譜で見たときに16とか24とか書いてある長いお休みがありますよね?そういった場合に、スコアでその楽器の五線が省略されることがあります。

 

曲者移調楽器

吹奏楽にかかわらず、管楽器を扱う合奏体で頭を悩ませるのが移調楽器です。簡単にいうと、譜面に書かれている「ド」を演奏した時に、ピアノの「ド」と違う音が出てくる楽器があるということです。

初心者は、同じ「ド」を演奏しても違う音が出てくる楽器があるということだけでも覚えておくと楽譜を見たときの?マークが減るかと思います。

 

 

もしこの点に興味があるとか、もう少し先に進みたい。という方はリンク先の記事をお読みいただければと思います。

こちらの記事にまとめてありますので、ご興味のある方はこちらをお読みください。

www.petit-orchestra.jp

 

初心者向け使い方

さて、基礎知識と申し上げながら、なんだかやたらとややこしいことを申し上げたと思われる方もいらっしゃるかと思います。

 

はい、その感覚は正しいと思います。ややこしいですね...

今は理解しなくてもかまわないかと思います。

ただ、それを理解していないにしても、「そういうものである」ということを知っているということは、大きな価値です。知らなかったが故に、そこで躓いてしまい、嫌になってしまうということもあります。

 

では、ここからより実践的な段階へ行こうと思います。

 

同じ形を見つけるべし!

自分と同じ仲間のパートを見つけてみましょう。

 

同じパートの違う形を見つけるべし!

ここはつられてはいけない場所なんだとわかることも大事なこと。

メロディを探してみよう

スコアからメロディを探すのはとても大切なことです。なぜならば、それが自分の役割を把握する大きな手掛かりとなりうるからです。

役割が把握できるということは、演奏方法を推測できるようになります。

 

たとえば、メロディやベースラインだったら大きめに、対旋律だったらメロディと同等か少し抑えようかな?伴奏系だったら小さめに…という簡単なことでも意識するとしないとでは大きな違いです。

最初の一歩は大きな一歩ですよ!一つ気づけるようになるとそのうち別のことに気づけるようになります。それを積み重ねるといつの間にか、楽曲全体の構成が理解できるようになる。。。かもしれません!

 

わらしべ長者を見習ってみましょう。

 

スコアリーディング初歩の学習に役立つコンデンススコア

スコアにも実は種類がありまして、フルスコアとコンデンススコアというものがあります。

フルスコアは各々の楽器の楽譜が正確に記されているものです。

 

コンデンススコアというのは、楽器ごとに五線を分けたものではなく、役割事に見やすく集約したものです。フルスコアと比べると段数も大幅に少なくなることが普通です。

 

どちらのスコアにも利点ががありまして、フルスコアはすべての楽器の音の情報を正確に得ることができます。その分情報量が多くなります。上記並び順一連をご覧いただければ想像がつくかと思います。

コンデンススコアの場合は、楽曲の構造をシンプルに表現できるという利点があります。楽曲の内容を理解するには、よいアイテムです。

ただし、あまり複雑な曲には向きませんし、またどの楽器がどの役割をやっているのかを正確に把握するのは難しいです。もちろん、推測できる情報はついていますが…それにしても。ねぇ…

 

コンデンススコアがスコアリーディングの役に立つと申し上げましたのは、役割事にまとめられているため、情報量が少なく、シンプルになっているからです。

 

人間、慣れてくると処理できる量も多くなりますし、取捨選択できるようになりますし、大量な情報も扱うことができるようになります。

 

しかし、それはあくまでも慣れてきたらの話です。

経験と時間が必要です。

 

情報量が少ない。というだけでもハードルがえらく下がります。ということで、導入にはコンデンススコアをお勧めします。

 

とはいうものの、コンデンススコアなんて、そんな簡単に手に入らない...ということもあると思います。

そんなときは…

 

ピアノ譜や合唱の譜面でも代用できるかも!?

はい、お好きなピアノ曲や合唱曲をスコアリーディングの勉強に使ってみましょう。

ピアノ曲であれば、たいていは2段しか書かれておりません。

また、曲数も大量にありますし、初心者向けのとーってもシンプルなものから上級者向けのとーっても複雑なものまでたくさん取り揃えられております。

 

おそらく、一番数多くの種類が出ているのがピアノの楽譜であろうと思います。大量に出回っているということは、お値段もお手頃です。

 

また、最近はYoutubeなんていうとても便利な代物がありまして、仮にピアノが弾けなかったとしても、譜面を見ながらyoutubeを聞くことで、スコアリーディングの練習ができちゃいます!

 

そう、楽譜は演奏だけでなくて、勉強にも使えるんですよ!

 

ということで、だまされたと思ってやってみてはいかがでしょうか!

 

慣れてきたらポケットスコアを買ってみよう

スコアを読むことに慣れてきたら、ポケットスコアを買ってみて、上記の方法。youtubeなどの音源に合わせて読みながら聞くというのをお勧めします。飛躍的に情報処理能力が上がるのがわかるはず。

 

指揮 or 練習の仕切りをしてみる

はい、ちょっとぶっ飛んだ方法ですが、とても効果があると思います。

それは、実際に練習を仕切ってみるということです。合奏でなく分奏でも構いませんし、もしかしたらパート練習でも意味があるかもしれません。

もちろん、ここまでに書かれているような勉強はある程度したほうがよいと思います。

 でないと、練習参加者側からブーイングの嵐でしょうから…

 

でも、練習を見るという緊張感と責任感でスコアリーディング能力は飛躍的に上がることでしょう(責任を感じなさすぎるタイプの人はやめたほうがいいかも)

 

また、この方法をやると、例えば、他の人との指導の違いを実感することになると思いますが、それはむしろ学びのチャンスで、仕切り係としてとプレイヤーとしての両方で参加することによって、自分は見落としがちなところを気づけるようになったりもします。

自分が注意しない点でほかの人が拾っているところはチャンス。今度はそこに注意が向くようになります。

 

最初から読める人はいません

スーパーマンでもない限り、いきなりスコアを読める人なんていません。大体パート譜を読めるようになるのも大変ではなかったですか???

 

私に限っても、高校生くらいの頃、すでに吹奏楽は6年近く続けていましたし、ピアノは10年以上習っていたし、ラフマニノフのピアノ協奏曲に無謀にもチャレンジしよう…という程度には譜読みができていた人間でしたが、スコアは読めませんでした。

 

より正確に言うと、練習の指導をできるほどには読めませんでした。でも、譜面を見ながら聞く、指導してみる、なんてことを繰り返しているうちに、読み方のコツもわかってくるし、実際に練習を取り仕切る程度にはなれました。

もちろん、作編曲をしているというのも大きな側面かもしれませんが…

 

語学の学習と一緒ですね。一朝一夕にはできませんが、努力は無駄になりません。

ということで、小さなことからコツコツと頑張ってみませんか?

 

吹奏楽関連記事

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変わり種、Jazz風アレンジの「慈しみ深き」

ひええええ。。。放っておくと、全く記事を書かなくなってしまうので、ここいらで一発だけでも投入してみます。

 

 

変わり種、Jazzアレンジの「慈しみ深き」

 

とりあえず聞いてみてください

まずは、音源をば…

 

www.youtube.com

 

あれれ、普通じゃん。

と思ったそこのあなた...

 

 

はい、その通りです。

 

 

最初はいたって普通の讃美歌風。

なのですが…

 

下属和音のBbが続くかと思いきや、ベースが半音上がり、Gが足され...

ドッペルドミナント(7thってつけていいんだっけ?)が鳴り響くと、あらら一気に雰囲気が変わります。

 

それまで待つのが面倒くさいというかたは、こちらからどうぞ。

 

 

ソフトウェア音源なのが、ちょっと残念だけれども、まぁまぁ雰囲気は出ているのではないのでしょうか。

 

なぜJazz?

はい、なぜJazzアレンジをしたのでしょうか。という理由は…

普通のアレンジが飽きたからです。

はい、このブログでちょいちょい出てきますね、このなんとも人聞きの悪い動機。

 

でもですねぇ。例えば、クリスマス曲を何曲も何曲もアレンジしているとですね、同じような雰囲気ばっかりだと飽きちゃうんですよね。

作っている方が

 

なので、こんなことになっております。でも、動機は何であろうと、出てきたものが良ければよいと思いませんか?

 

客観的に良いかはわからないのですが、個人的にはちょっと楽しいアレンジかなと思っております。

 

また、もう一つ理由としまして、同じような曲調だと、ユーザーに飽きられるのでは...という恐怖もございます。

あらまぁ、これも何と後ろ向きな動機なのでしょうか...

 

やっぱりですね。どんなに小さかろうと、人に評価されうるものを公表するってのはそもそも恐ろしいんですが、マンネリ化して飽きられるというのは怖いのであります。

(あぁ、捨てないでください… みたいな。失恋の歌かっ

 

ただ、全く逆の「期待されている曲調がある」という意見もあったりします。同じような作り、同じような曲調の、似ているけれども異なる曲に需要が合ったりするんですって。

そういうものなんでしょうか。

 

うーん、そうなのかも…

 

特定の作曲家が好きというのは、そういうことなのかな…

でもまぁ、その作曲家らしさはもちろん欲しているのだけれども、かといって単調すぎるとそもそも好きにならないし、引き出しは多いほうがいいよね。と自己弁護してみます。

 

割と便利なバリアブルコンサートバンドシリーズ

以前、小規模吹奏楽譜面シリーズについて、触れてみましたがそこでもご紹介していたりします。

www.petit-orchestra.jp

 

これのコンセプトが4重奏~中編成の吹奏楽のどれでも演奏できる!

というものでして、合唱の四声体をヒントに作ったものです。

 

コアとなるのが「金管やサックス群による四重奏体」でその上に、「木管による四重奏体」が乗っかります。(どちらも、片方の組を取り出して演奏することが可能であったりします)さらに、その上にフルートやピッコロを想定した「高音部のオブリガート」と中音域を面白くする、ユーフォニアムやテナーサックスを想定した「中低音のオブリガート」が加わり、最後に和声や音色の変化をもたらすためのホルン群を想定した2パートによる「コード部隊」が加わります。

管楽器はこの前12パートで構成されておりまして、随時重複が可能となっております。

 

ただ、大編成で演奏するとなると、トロンボーンパートに若干の不満が残ります。今は頑張っても、Lead TenorとLead Bassの上パートの2つくらいしか分担できません。トロンボーンは、チューバと含めてそれ単体で4声欲しいですよね。(Bass Tromboneがベースラインをなぞるとしても、もう一つ欲しい)改良するとしたら、トロンボーンの3パートをうまく付け加えられるように、金管サックス群を担当するLead Tenorにdivを足す。。。というのは考えていたりしました。

 

さらに、フル編成においてはここへ打楽器ピアノが加わります。

ということで、フル編成の吹奏楽でも耐えられる作りとなっております。

 

バリアブルシリーズの裏仕様

これは、公には名言していないのですが…実はバリアブルシリーズには裏仕様があります。

というのは、ソロ楽器とピアノのみで演奏が可能である。ということです。

これは、当初から隠し仕様として想定して作ってきておりました。

 

編成が大きくなったときは適宜休みを入れて音色の変化が楽しめ、人が少ないときでも演奏が成り立つための豆符がいたるところに書かれている譜面ではありますが、実はピアノパートも例外ではなく、こんな感じになっています。

 

慈しみ深きの冒頭

慈しみ深きの冒頭

図が小さすぎてわかりにくいかもしれませんが、楽譜の一部です。

で、管楽器の音符のサイズに対して、ピアノは70%と小さくなっています。(=豆符)

 

Pianoパートの上の、ごみのような文字は「Cue (L.)Soprano, (L.)Alto , (L.)Tenor and (L.)Bass」と書いてありまして、ここで書かれているパートがない場合に演奏してくださいという意味であります。

 

で、こういった豆符を含めてピアノの譜面には、旋律以外の(正確には、SopranoパートおよびLead Sopranoのパートを足しさえすれば曲が成り立つ)音符が書かれております。

 

逆に言えば、SopranoまたはLead Sopranoのパートをソロ楽器として、ピアノ伴奏により演奏ができるということです。

 

ただ、悲しいかな、そもそも合奏の譜面なので、まさかソロ譜として購入する人はいないのでしょうね...

ということで、切り出して売ってみようかななんてちょっと思っていたりします。

 

実際にソロ+ピアノで試してみた

実は、この「慈しみ深きともなるイエスは」をトロンボーン+ピアノで演奏してくださった方がおりまして、編集でOKが出れば公開してもよいとのことでございました。

バリアブルの譜面そのままではトロンボーンでは演奏はできないのですが、Lead Soprano(トランペットやアルトサックス用の譜面)を1オクターブ下げることで、対応可能となりました。

Sopranoパートはフルートやクラリネットで演奏できるようになっておりまして、

Lead Sopranoでトランペットやアルトサックス、さらにいじればトロンボーンで演奏できる。。。ということは、吹奏楽のほとんどの楽器でソロ譜として使える譜面であるといえるでしょう。

 

我ながらすごい譜面を考えたものである。哀しき自画自賛

 

ということで、音源は近日公開予定でございます。

 

 

近日公開よてい

 

 

 

ディベルティメント吹奏楽版の演奏

第26回鴨川吹奏楽団 定期演奏会が終わって早3日。

演奏会より前の1週間はとても長かった気がしますが、終わってしまうと時間がたつのが早いのは気のせいでしょうか。

 

さて、自作のディベルティメントですが楽団にお願いをしまして、動画公開をさせていただくことになりました。

動画…とはいっても、実際は音源+静止画だったりしますが、そこは突っ込まないでいただければ幸いです…

 

こちらです。

 

www.youtube.com

 

ほんと…一時はどうなることかと思いましたが…

なんだか、思っていたよりもよっぽどいい演奏になりました。

 

決め所がことごとくそろってるのが、すごい… いや、当たり前と言われたらそれまでなんだけれども、でもピシッと決まるとスカッとするではないですか。たまには自画自賛しましょうよ。

 

様々な奏者に感謝をしたい曲ですが、あえて一人選ぶとしたらトランペットの1stを務めてくださったMさんでしょうか。


この曲、2本のホルンによる空虚五度のうっすーい和音の上をしばらくの間ひたすら1st Trumpetが弱奏によるドソロを吹き続けるというもの。

9小節後には全金管楽器と少しばかりのクラリネット族が参加しますが、それでも、1stと2ndトランペットはひたすら譜割のややこしく、弱奏での旋律を延々と続けるという...

 

非常にストレスのかかる仕事を担当していただきましたw

 

終演後、打ち上げの様子をちらった覗き見ることができたのですが、「過去最高に緊張した」とニヤニヤしていたそうです。

いやぁ、ドM(笑)

でも、それでこそトランペット吹きだと思います。

トランペットって大きな音が出て、目立つし、さぞかし豪快で心の強い人が多いのだろうと想像される方もいるかもしれません。心が強いはあっているかもしれません。

 

でもその楽器の性質について逆の言い方をすると、どうやっても目立ってしまうとも言えます。隠れられないとも言い換えられます。

また、金管楽器は音が外れやすい楽器でもあります。木管楽器のように音孔があるわけではなく、

その性質により常にプレッシャーにさらされる楽器でもあるといえます。

実はビビりな人が多い楽器であったりします。

プレッシャーに弱いけれども、でも目立ちたいし、もしかしたらこの緊張も楽しんじゃってるのかも???
のような、チキンレース的なものを楽しめちゃう気質を持っている…

まさにドMがトランペット奏者ではないでしょうか。(注意:あくまで個人的な感想です)

 

今回は、本当にありがたかったです。本人にも「ありがとうございます」と伝えましたが、ここでも改めて。

曲の頭ってそのあとにとても影響があるんですよね。

それが成功すればそのあともいいムードのまま持っていけるし、そこで失敗すると挽回するのはかなり大変です。

 

1つ選ぶなら、ってことで触れましたが、でも本当に、この出来については全団員に感謝しています。

第三楽章のサックスソロも決めてくれました。

ぱっと聞いてもわからないのですが、第四楽章のピッコロ、フルート、オーボエ、Ebクラのうねうねも、かすかに聞こえる感じが想定通りで、とてもよい。

 

まとまらなくなっちゃった。今日はここまでにして、近いうちにもう少しまとめますー。


トランペットに隠れがちですが、最初に音を出すホルンも実はとても緊張する仕事をさせられていることも追記しておきます。

鴨川吹奏楽団 第26回定期演奏会終わりました

ご来場くださった皆様、誠にありがとうございました。

一時はどうなることかと思われた定期演奏会ですが、無事に終演を迎えることができました。

 

今回も集中した熱量の高い演奏ができたと思います。

その点は本当に頑張ったと思います。

 

でも、今回はいつも以上に私も頑張りましたとも。ええ。

2週間前の合奏の時に、やばい曲をこなさねばと思い、声を荒らげました。(ほんと、そんなことはしたくはないんですよ…でも言わないと伝わらないの)。

1週間前の合奏。私は参加できませんでした。でも、きっと進歩しているだろうと高をくくっていたんです。でも、SOSが届きました。

合奏の音源を聞いて、月、火、水の3日間で、出来てないところをリストアップいたしました。(若干…という枕詞では許されない程度の怒りがこもってしまったことを今この場でお詫び申し上げます)

ステリハでも、フォローに回りました。

 

そう、すごく頑張りました。

 

でも、みんなも頑張っていたんだなと、ゲネプロ、ステリハ、演奏会本番を通して感じていました。

  • 拍にはめるのは苦手だけれども、譜読み自体の間違いは0な今回の大ソリストさん!
  • リストアップした項目について質問しに来てくれたたくさんの方。
  • リストを見て仕事後にこそ練をしてくださった皆さん。
  • ステリハでうまくいかなかったところを、自ら関連奏者に交渉して何度も練習していた団員さん
  • 今回に限らず、毎度毎度声をかけ、気にしてくださっているたくさんの方々。
  • 指摘一覧のリストを見るように呼び掛けてくださった皆さん
  • 丁寧にステージリハーサルに付き合ってくださった指揮者様
  • そして、めげそうになりつつも、今回の私的リスト作成にご尽力くださった方々。

 

今回の演奏会は、皆さんの気持ちも推し量れるいい機会でありました。

その気持ちはうれしく思います。

 

でも、ちょーっと疲れちゃったのも事実ではあるんです。

 

今回のその熱量をもう少し前から生かせないものか…と思います。

 

でもね、練習は百歩譲っていいんです。だって、私は練習を見る役割にはいたので、別に必要なことなので苦言を呈するのもかまわないんです。(フォローは欲しいけれども)

 

だけれども、運営の杜撰さにはとても憤りを感じていました。なぜなら、ほとんどの項目の決め事を一人の人間がしていたからです。

私は、そういう姿を見るのは嫌なんです。本来分担してやるべきことです。40人以上団員がいるのに、それをほとんど一人がやるっておかしいと思います。ほかに役職についている人はいざ知らず、そうではない団員もたくさんいるのに...です。

私は、そういう環境は本当に嫌いです。事情があって、またはやる気がなくてできないわけではないのに、その状態にしてしまっていることにです。

 

本来、私は演奏時の指示だしと練習を見るのが役目です。それだって重大な任務だと思います。(今回の定期演奏会、客観的にみてかなり貢献したと思います。今回の演奏会は奇跡が起きたんではなくて、なるべくしてなったんですよ。指揮者も私も音楽の方向性や合図をたくさんだしました。全員ではないけれども主要メンバーはそれをくみ取ってくれました。今回の演奏がゲネプロから比べて急によくなったのはそういう理由だと思います。そんな奇跡なんて言う偶然できましたっていう一言で済まされたくありません。)

今季は欠席が多くて全うできませんでしたし、時間外の活動が多い役職ではありませんが、でもそれなりに負担のある仕事ではあります。

 

いや、負担があるから嫌だというのではなく、なんだこの不公平感は?と常々思っていました。

 

この団は、みんなの団だよね?

 

私が望んでみんなに参加してもらっている団ではないよね?

と、運営の杜撰さと消極的な様子をみるにつけ、常々思っていました。

 

本当に嫌でした。

 

 

 

だから、もっと運営を改善しませんか?と本当に思ってます。

もう、ずーっと何年もです。

 

やれることをやれる人がやればいい…それ自体は否定しません。それが理想形なのもわかります。

そのスローガンを掲げて、適切なレベルで切り分けができて、自然に役割分担ができて、負担が平均化できるのであれば。

 

大集団の団体なので、別に全員が平等に負担を負えとは思いません。

事情はそれぞれ異なります。

 

家庭に仕事に忙しいかた、体の強くない方、悩みを抱えている方、浅い付き合いをしたい方etc…いろいろいると思います。

各々費やしたい時間もレベルも異なると思います。最低限のラインというものは必要だと思いますが、別に、全員が同じ熱量で同じ水準で臨む必要なんてないと思っています。

 

それぞれ、事情は異なります。時間の余裕も人それぞれ、体力も人それぞれ、忍耐強さも人それぞれ…みんな共存していいんです。

 

でも、そういう余裕を持つということと、役割分担のマネジメントを放棄するということは違います。

 

できる人がやればいいという考えの元、放置した結果、スーパーマン一人がほとんどすべてを取り仕切って演奏会の段取りをする...に留まらず、日常的な業務もこなす。。。

なんて状況は、どうかんがえてもおかしいです。

 

実態としては、その人がスーパーマンでできるからやっているのではなく、やらざるを得ないから能力値を超えてもやらざるを得なくなっている。が正解ではないでしょうか。

なので、業務の分量が適切になるように切り分けをし、介入するのは当然のことだと思います。

 

また、やれることをすればいいんだから、やることを減らせばいい。という考えについても、疑問があります。

 

もし、今やっている負担を減らしていのであれば、自主公演はやめるべきでしょう。

 

今、鴨川吹奏楽団で行っている演奏会企画で執り行っていることは最小限のものだと思います。

  • 広報用のポスター作製
  • プログラム冊子作製
  • MC原稿作成
  • 当日のタイムスケジュール作成
  • 打ち上げ係
  • 運送手段の確保
  • 楽器借用の手続き
  • ホール取得
  • ホールとの打ち合わせetc…

 

単独公演をしようと思ったら、これは最低こなさなければならないラインでしょう。

仮に宣伝をしないで演奏会を開くって、意味があると思います???

人に聞かせたいから演奏会という形をとるわけであって、ただ演奏をしたいだけであれば団内発表会でもことたりるんですよ。でも、それでこんなモチベーションを保てますか???

 

品質を落とすという対応もできますが、なくすことはできません。品質を落とす程度では負担はそう変わりません。結局段取りはしなくてはならないからです。

品質を落としたら、モチベーションを下げることになるでしょう。

品質を落とすことで大きな余裕が生まれるのであれば積極的に検討すべきことでしょう。でも対費用効果は???

(ちなみに、外注する手段を確立してので、すでに高品質な状態のまま丸投げすることもできる状態です)

 

 

単独公演を開催するにあたって、これが必須なことだとして、こんなの一人でこなすことだと思いますか?

 

本来であれば、分野ごとに、1人、いや2人一組以上で取り組むべき事柄ではないでしょうか?

組織を存続させていくのであれば、2人以上でやるべきことですよね。

その組織が、居場所として必要な大事なものであるとしたら、後進や代わりの人が担当できるレベルにするのは当然のことでしょう。

 

だって、そのスーパーマンがいなくなってしまったらどうするのでしょうか?

倒れてしまったら?

気力が尽きてしまったら?

 

そしたら、存続ができないんですよ。

 

 

また、団員一人一人にとって、役割が任されていないお客さんの状態であることは、幸せなことなのでしょうか?

 

今日の本番後の片づけを見て「みんな、よく働くなぁ」と本心から思いました。

誰に言われたでもなく、自分ができることは何だろう?と考えて自ら動くということができているんですよ。

すばらしいことではないでしょうか?

 

役に立ちたいと思っているからゆえの行動です。

 

でもね。

 

気持ちがあっても、自らやるべき役割を見つけてそれを全うする。。。っていうのはとても難しいんです。

立場もあります、年数もあります、年齢も経験もあります。

なかなか難しいです。

 

だから、運営側は人の適正をよーく観察して「どう?」って言ってあげないといけない立場にあるんです。(少なくとも、声を大きくして言える人が言ってあげてほしいです。例えば、入団して間もない人が、「副団長をやります!」とか「コンマスをやります!」とか言いづらいでしょ?)

 

 

人間だれしも、その場が大切でかけがえがなく、なければならない存在であればあるだけ、そこを大切にしようと思うものですよ。

 

ただ、どうかかわっていいのかわからない。自分の能力と照らし合わせて重すぎる責任は負えないと考えているだけで、貢献したいという気持ちはもっているのではないでしょうか?

 

鴨川吹奏楽団がみんなの場であり続けるためには、団員のみんながそこを大事にできるような仕組みである必要があると思いますよ。

 

確かに、適切な業務の振り分けはそれ自体に負担がかかります。最初は監督が必要でしょう、監督することは大変なことです。負担を負った人はめげることもあるでしょう。

でも、それは必要なことではないでしょうか?

 

それに、今はそういう気持ちでいる人がたくさんいるように思います。

 

私はいったん離れます。その意思は変わりません。

 

なんてね。

鴨川にいた年月を共に歩んだ団体なので、いろいろな思いがこもってしまいます。

冷静には見られません。

 

いっぱい、してもらったこともあります。

 

でも、このまま私が居座って口出しを続けたら、みんな甘えることでしょう。

 

そんな楽団になってほしくないです。

 

いずれは、自ら進化を続け、どんどん遠い存在になってほしい…と願っています。

 

田舎にある吹奏楽団の希望の形であると。自負を持てるような楽団になってほしい。

という、これは個人的な気持ちです。

 

みんなが永遠に充実した生活を送れますように。

 

鴨吹ってそういう場になれると思いませんか?

意外と身近な「主題操作」 そして初演情報

本日は、主題操作についてです。
主題操作。「なに?漢字ばっかりで小難しいじゃないか。。。」と思うなかれ!
年末によーく聞くあの曲で解説をしております。

また、それに絡めてこの12月にあります拙作の(吹奏楽版)初演作品について、少し触れてみようと思います。

 

 

 

意外と身近な「主題操作」

主題操作とは「旋律のアレンジ」のことである


主題操作に関して、自作のアッピールのためにこんな記事を書いていました。

www.petit-orchestra.jp

 

音楽用語って難しいですよね。でも、名は体を表すなので、理解していまえば、「あーはー」って感じにはなりますよ。
主題操作も言葉だけ聞くと「???」かもしれませんが、現代の楽曲においてもよーく使われる技法です。

主題操作とは端的にいうと「旋律のアレンジ」です。

日本の年末の風物詩。ベートーヴェンの第九で、その例を見てみましょう。


よーく聞くパターンです。
ミーーーファーソー|ソーファーミーレー…といった形です。


トルコ行進曲風。6/8拍子に代わっているのがお分かりでしょうか?
んっミミー|ーんっファソー|ーんっソファー|ーんっミレー|…といった形です。


ラストです。
ミミファソソファミ(ミ)レ|ミミファソソファミ(ミ)レ…といった形です。


これは、かなーりわかりやすい部分、かつ、わかりやすい例を持ってきましたが。

例えば「ミミファソー」と…

  • 上がる代わりに「ミミレドー」と下がる
  • 「ソーファミミ」と後ろからなぞる
  • (時には、一瞬関連性がわからない程度に)「みーーーーみーーーーーふぁーーーーーそーーーーー」のように引き延ばす
  • リズムだけを利用する(ベートーベンの運命が有名ですね。中学の教科書にも載っていたりします。んダダダダーンのリズムですね)

と、何らかの関連を持たせて変形させることを言います。

 

現代においても多用される技法である


ソナタ形式が隆盛した時期にこの手の主題をいじくりまわす技法は一気に発展を遂げました。

ただ、これが古臭い技法なのかと言われたら、そんなことはなく、古くからあるというだけで、現代の吹奏楽曲のみならず、現代のポップスにおいても使われているものであります。

そう、普遍的なものなんです。

だってね、ただ単に繰り返したら飽きるじゃないですか。
かといって、全然違う旋律を持ってきたら、脈略がなくなってしまうんですよ。きれいな旋律でも使っては捨て、使っては捨て…だと、「あー、なんだかきれいだったけど、よく覚えてないやー」となってしまうんですね。

ということで、こういう技法があるわけなんです。

 

ライトモチーフ


これと似てはいるもので「ライトモチーフ」というものもありますよね。
ワーグナーが提唱したものと言われていますが。ある登場人物が出てきたことを明示するスポットライトみたいなものといえばよいでしょうか。

例えば「ある登場人物のテーマ」と考えればよいでしょう。
劇中にその登場人物が重要なことをするたびにでてくるものです。

また、その時の場面や置かれた状況、感情などによって、暗くなったり、悲しくなったり、歓喜に満ちたり…とアレンジが加わります。

 

ライトモチーフの現代における実用例

 

これも、別に古い技法ではなくて、もっともポピュラーな劇音楽の手法です。
(日本のドラマだって、例えば、主題歌のアレンジがドラマの最中に流れたりしますよね?)

そう、ゲーム音楽なんかにもでてきます。某有名なDQ(すぎやまさんはもろ高等な音楽教育を受けた方ではいますが)しかり、FFの音楽しかり、私の大好きなChrono Crossしかり…

例えばDQ6であれば、敵の象徴のモチーフが戦闘シーンの楽曲(雑魚、ボス含む)、洞窟や塔(危険なダンジョン)の楽曲で使われていたり、忌々しいイベントの効果音で流れたりしていますし、FF6でいえばラスボスであるケフカの音楽が、登場シーンで流れたり、ラストバトルの音楽である「妖星乱舞」でアレンジされて使われていたりetc...

 

 

交響組曲「ドラゴンクエストVI」

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FINAL FANTASY VI Original Soundtrack

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脈々と受け継がれている技法であります。
言葉尻に捕らわれずに、「ふーん」と受け入れて、なんとなーく聞いているとだんだんわかってくるかもしれませんよ。

 

来る初演作品にて、主題操作…私も使ってます...


ここからが本題です。
来る2019/12/1(日)南総文化ホールにて、私の最後の出演となります。第26回鴨川吹奏楽団定期演奏会が行われます。

ここ数年。作曲作品を取り上げてくださった鴨吹ですが、きっとこれが私の作曲作品を演奏する最後の機会になるのではと思っております。

 

ちと脱線、楽曲についてをば…

 

今年初め、(いろいろ大変な時期だったこともあり)実はなかなか気が乗らず筆がすすまなかったのですが、でも、「やるならこれだろう」と決心をして、遅ればせながらもアレンジを完成させた作品です。

吹奏楽版は初演ではありますが、今回は原曲があります。(とはいっても、全曲の生演奏はされてないと思います)

 

オリジナルはこちら。

www.petit-orchestra.jp

 

原曲のテイストは損なっていませんが、編成が拡大したことによって、だいぶ豪華に変わったと思います。受ける印象もかなり違うことでしょう。

お楽しみに…していただければと思います。 

 

実は、この楽曲の演奏ですが、ちょっと前までどうなることかと思っておりました…

例年、本番が近づかないとメンバーがそろわないし、火がつかない楽団ではあるのですが、今年はいろいろあってそれがより顕著にでてしまいました。この楽曲に問わず綱渡りでしたよ...

でも、やっと演奏会を迎えられそうな雰囲気がしてきました。

今だって、危なっかしいことに変わりはないのですが、先週の練習で先が見えました。

ここまでくれば、「是非聞きに来てください」と申し上げられます。
どうか、聞きに来ていただきたいです。



オリジナルは、もともと「売れないだろうな」と趣味で作った作品だったりします。


でもそういう曲にかぎって、個人的にはお気に入りだったりしまして…

また、予想に反して、数は少ないけれども、売れている作品だったりもします。お金を払って手に取ってくださる方がいるなんて、ありがたい。価値が認められたようでとてもうれしく思っています。


また、とーってもうれしいことに、今回の吹奏楽アレンジを練習して気に入ってくれたらしく、トランペットのメンバーがわざわざオリジナルの金管八重奏バージョンを購入してくれたんです‼(泣くほどうれしい)

 

何気に、思い入れの大きい楽曲であります。 でなきゃ、わざわざアレンジしないよね…

 

初使用の打楽器がじゃんじゃん(今までの作品と一線を画しているかもしれない)

「ディベルティメント」というタイトルなのですが、その名の通り、あまり気負わずに、気楽に描いた作品であります。
その気分はアレンジにおいても表れたようで、使用する打楽器の種類がこれまでと一線を画しています。

吹奏楽クラシック系オリジナル作品に初めて使った楽器がとても多い作品になりました。

例えばこんなもの…

  • ドラムセット
  • ウィンドチャイム
  • ラテンパーカッション(シェイカー、コンガ、ティンバレスetc)

今まで、ちょっとお高くとまっていたというか…「打楽器といえばティンパニとチンドンシャン(トライアングル、バスドラム、合わせシンバル)だろ」なんて思っていたというか…だったのですが、いい意味で力が抜けました。とはいいつつ、用法に慣れていないので、打楽器のみなさんにだいぶお任せしてしまっているのは内緒。

また、クラシック系の楽曲とは言いつつも、一部の楽章にJazz風のワルツ(和音がだいぶ単純なのと、自由度が低いので、Jazzワルツと断言するのははばかられる)があったりと、自分の中ではだいぶチャレンジングな作品になっています。

 

ほら、興味がわきませんか???嘘でも沸いたといって(苦笑)

 

初演作品「ディベルティメント」での主題操作について


ここまで、前振りとつながらないじゃん?と思ったあなた。
ここからちゃんとつながります。ご安心ください。

気安く作った楽曲であるとは申し上げましたが、なにぶん自分の性分は抜けきらないようでして。相も変わらず小難しさが残ってしまいました。割と理系な楽曲を作り上げてしまう質なんです(私は別に理系じゃないのですが…)。この曲も多分に漏れずそんな作りになっています。

その例の一つとして、主題操作があります。この記事のテーマにつながりました。

今回は単独楽章の中だけでなく、全曲にまたがったものです。循環形式といわれるもの近いかもしれません。

 

ja.wikipedia.org

 

全4楽章からなるこの楽曲ですが。楽章ごとに、各々異なった旋律を持ちつつも、実は相互に関連しているという例をご提示したいと思います。楽章をまたがった主題操作とお考え下さい。


何がしたいか…と申しますと、ご来場いただける皆さんの立場的に、もし知っていたらただ聞くより面白いかも?と思いましてね。知らなくてもきっと面白いはず…

あとは、奏者の皆さんにとっても「へー!?」かもしれないなと思っております。奏者の皆さんは知っておいたほうがよい。余裕があれば…


さて、メインとなる主題はそれぞれこんな感じです。

第一楽章

f:id:ilyich888:20191122215456p:plain

第一楽章の主題

第二楽章

第二楽章の主題

第二楽章の主題

第三楽章

第三楽章の主題

第三楽章の主題

第四楽章

第四楽章の主題

第四楽章の主題


で、このすべてが、第一、二、四楽章にすべて現れます。
一部お見せいたします。

 

第一が黄色、第二が緑、第三が青、第四が赤です。変形して使われています。


第一楽章ではこのように使われます。

第一楽章で使われる他楽章の主題

第一楽章で使われる他楽章の主題


第二楽章では…

第二楽章で使われる第三楽章の主題

第二楽章で使われる第三楽章の主題

第二楽章で使われる第四楽章の主題

第二楽章で使われる第四楽章の主題

第二楽章で使われる第一楽章の主題

第二楽章で使われる第一楽章の主題

 

第四楽章では。

第四楽章で使われる第三楽章の主題

第四楽章で使われる第一第二楽章の主題

第四楽章で使われる第一第二楽章の主題

 

そう、こんな感じで主題操作をして使っております。この使用例は主題操作だけでなく、各楽章の関連付け、曲全体の統一感を出す目的もあり、その点においては主題操作以外の目的をも持つものであります。
クラシック音楽を聴く醍醐味の一つとして、2度目以降の鑑賞においても「聞くたびに新たな発見があること」というのがあると思います。

「あ!?これはあの旋律と関連していたんだ!」と知るのは、一時期はやった脳の「アハ」体験でございます。

是非、ご堪能ください。

そんな曲になっていたら、幸いです。


さて、ここまでで、第三楽章が出てきませんでした。
なぜなら、第三楽章においては、他の楽章の旋律が使われていないからなのでございます。

 

なぜなのでしょうか?

 

それは曲の成り立ちに由来するものです。

もし、ご興味ある方がいらっしゃいましたら…こっそり聞いてみてください。そのうちおいおい。。。

 

鴨川吹奏楽団 第26回定期演奏会

ということで…

  • 鴨川吹奏楽団 第26回定期演奏会
  • 2019年12月1日(日)13:30会場/14:00開演
  • 南総文化ホール 大ホール
  • 入場無料

 

皆様のお越しをお待ちしております。

最初期の作品 行進曲「遊園地にて」

たまには、封印した(わけでもないのですがなんとなく恥ずかしい気持ちがあるのは確かな)ものすごく若かった時に作ってみたものでも晒してみようかなと思います。

f:id:ilyich888:20190811134144j:plain

imacveryさんによるイラストACからのイラスト

最初期の作品 行進曲「遊園地にて」

映えある番号付の最初の作品(作品番号1)です。

 

動画

いやぁ、これを晒すのはなかなか恥ずかしいぞ…と思いつつ、記事が書けないので…晒してみますです。はい。

www.youtube.com

 

 

作曲時期、動機など

過去を晒すようで恥ずかしいのですが、高校2年~3年の時に作ったものです。およそ20年くらい前の物です…

動機はなんだったでしょうか?

この曲よりももっと前に遊びの延長で(これも遊びの延長ではありますが、もっとお試しな要素が強かったと言うか、なものを)何曲か作っておりました。そういえば、最初は2,3分の曲を作るので限界でしたねぇ…今は10分程度の曲もかけるようになりまして、何だかんだ成長してるのかなと思います。

 

何事もそうなのでしょうが、最初期は模倣で始まります。この曲も当時よく触れていた楽曲の模倣の延長で完成したものです。この時期やこの作品ができる前の中学生の頃、吹奏楽部に所属していたこともあり、行進曲に触れる機会が多かったのでしょう(記憶が曖昧)。それでこの行進曲ができたのではないかと思われます。本当に昔の事過ぎて推測。

 

それにしても、田舎の芋高校生っぽい曲だなぁという印象。もう大人に近づきつつある年齢の人間の採った題材が遊園地…高校生で遊園地も全然おかしくはないのですが、曲調が「たのしいなーたのしいなー、あははー、あははー」みたいなのが、幼さを感じさせると言うか…

大人になってから書いたこんな曲もありますけれども…

www.petit-orchestra.jp

いや、しかし、同じ題材とはいえ、大人になってから他者に演奏してもらう事を念頭に作るのと、ただただ曲を作ってみたかったから作ったのとでは意味が違いますよね。

でもまぁ、しかたありません。ぼぅっとした高校生でありましたから。

 

意外にも様式に則られている

そう、マーチの典型的な形に近いと思います。

まず、リズムパターンが典型的。「ドーン(1,2)、ドーン (1,2)、ドン(1)ドン(2)ドン(1)、(休符)」というもの。

そして、調性の選択、トリオが下属調なのはもちろんなのですが、第一マーチが半終止である点、第一マーチを属和音で導く序奏など。これも典型的です。

 

ちょっと変わった点

序奏がいきなり第二転回形で始まるのは良いのだろうか…

この通りです。第二転回形の和音というのは基本的には用途が限られるもので、ドミナントの倚和音としてのIの形や、経過的に使われるのが通常です。

が、この曲は冒頭からいきなり第二転回形の和音が始まります。

聞きすぎて慣れちゃってるのですが、ちょーっと…いや、もしかしたらかなーり違和感のある開始かもしれません。

 

ウッドブロックを使っている

あまり、行進曲には使われない楽器ではなかろうかと思います。しかし、遊園地っぽいと言う意味においては良い選択だったのかもと思います。

クラリネットによる対旋律(?)

この楽曲のトリオには、対旋律という対旋律が存在しないのですが、急速に駆け巡るクラリネットがこの代わりを果たしています。

上ったり降りたり、園内を走り回るローラーコースターっぽさが表現できているかも?と考えればなかなかしっくり来ている選択だったかもとも思います。

ちょい脱線です。この「遊園地にて」というタイトル、そういえば後付だったのを思い出しました。最初は仮で「マーチ4」という名前を付けておりまして、初演(実は高3の文化祭で演奏してもらっておりました)はその名前で呼ばれていたように思います。訂正する暇もなかった。

ちなみに、4なのは、これより前に3曲マーチを作っていたからだったりします。そのうちの2つはなんとなく思い出せますが、1つがどんなんだったか全く思い出せない…

結果的に曲調から後付で曲名が決まったものです。

 

しかしまあ、大分青い曲だなと思います。

ちなみに、これでもおかしな部分(予期せぬ不協和音や、対旋律、ヴォイシングなど)をあとから直しております。

初演当時はもっとごちゃごちゃしていたということです。

 

ひぃいいい。

 

今日はこれにて。

 

埋もれていた 小編成吹奏楽曲「夏の音」

今まで何度か記事中で触れた楽曲ではありますが、正式に触れたことがなかったな…と思い返しまして、記事を立ててみます。

 

今、ちょうど夏ですしね!

 

 

埋もれていた 小編成吹奏楽曲「夏の音」

 

演奏動画

もともと、ソフトウェアの音源しかなかったのですが、今年になって実音の音源が公開されました。

 

www.youtube.com

作曲:田丸和弥
指揮:宮嵜三千男
演奏:尼崎市立尼崎双星高等学校

 

近隣の学校を見ていても思うのですが、中高吹奏楽部の生徒ってとても忙しんですよね…吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテスト、ソロコンテストは言わずもがなですが、それ以外にも卒業式、入学式、体育祭をはじめとした、学校行事に駆り出され、文化祭に自主企画演奏会、それに加え、民間の施設での演奏をしたり、慰問演奏をしたり…

あ、野球部のある学校は野球応援もありますね。

と…とにかく引っ張りだこです。

そんな中、こういった録音に協力してくださるというのは、大変ありがたいことです。

 

生徒のみなさん、そして、(とてーも多忙だと思われます)顧問の先生…この場をお借りして感謝申し上げます。

 

「和か、スラブか」迷っていた作曲時のコンセプト

完成形を聞くと、一部を除き和風な雰囲気をまとう楽曲になっていると思うのですが、最初は和風な曲という意識はありませんでした。

どちらかというと見出しにあります通り、スラブ風の楽曲を狙っておりました。

 

しかし、スラブ…またスラブか…

 

過去記事を読んでくださっている方の中にはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、何を隠そう私はスラブの音楽が大好き。

 

これですとか…

www.petit-orchestra.jp

 

これですとか(スラブ舞曲の要素を持つ楽曲を含んでいます)

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これですとか(17名~の収穫祭はまさにスラブの音楽)

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そう、「またスラブ…」となってしまったのですね。なんとなく自分の中で…

 

 

そのため、この曲に関しては、あまりスラブスラブと考えないように作ることにした記憶があります。で、出来たのがこれ。

といっても、さほど和風とも思わないのですが(爆)

いやいやいやいや、主部のリズムは夏祭りを意識していますよ。短調な楽曲ではありますが、暗い音楽ではなく、力強い意志を感じる音楽です。

 

もう一つ、脱線。私、そもそも「夏」という季節がさほど好きでなく、暑いじゃん…夏をイメージした楽曲はさほど多くないのですが…これはタイトルにもあります通り、自分比では珍しく「The 夏」といった一曲になっていると思います。

 

近い楽曲にこちらもございます。

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千葉県一宮町立一宮小学校金管部のための描き下ろし作品です。玉前神社のお祭りのシーンをイメージした部分を含む楽曲です。

 

そんなこんなで、パッと表に出したい、という気持ちより「少し寝かせておこうかな」という気持ちもあり、埋もれておりました。

結果的に出てよかった。

 

楽曲解説

4分の2拍子、ニ短調(♭1つ)、アレグロ・コン・フォーコ。フォーコ(fuoco)は情熱的に意味。ソナタ形式の特徴を持つ三部形式の楽曲とで言いましょうか。スタンダードな形式からは多少逸脱したものです。

 

楽曲構成 ソナタ的要素を持つ三部形式

構成を簡単に記してみます。

三部形式でいう主部(ニ短調)

  • ソナタ形式でいう提示部【第一主題】にあたる部分:1~24小節
  • ソナタ形式でいう提示部【ブリッジ】にあたる部分:25~32小節
  • ソナタ形式でいう提示部【第二主題】にあたる部分:33~52小節(ヘ長調)
  • ソナタ形式でいう提示部【ブリッジ】にあたる部分:53~64小節
  • ソナタ形式でいう提示部【第一主題】にあたる部分:65~84小節

三部形式で言う中間部(変ロ長調)

  • 導入:85~92小節
  • 第三の主題:93~108小節
  • ブリッジ:109~119小節
  • ソナタ形式でいう展開部にあたる部分:120~138小節,139~154小節

三部形式でいう主部の再現(ニ短調)

  • ソナタ形式でいう再現部【第一主題】にあたる部分:155~170小節
  • ソナタ形式でいう再現部【ブリッジ】にあたる部分:171~186小節,187~194小節
  • ソナタ形式でいう再現部【第二主題】にあたる部分:195~219小節(ト長調)

コーダ

  • ソナタ形式でいうコーダにあたる部分:導入220~227小節,228~247小節,248~255小節

 

ソナタ形式でいう再現部の第二主題の調性がソナタ形式のそれとは異なりますので、ソナタ形式とは異なった形式であると言えます。

 

代表的な3つの主題

代表的な主題をご紹介してみようと思います。

夏の音 主要主題

夏の音 主要主題

 この曲には序奏は存在せず、冒頭からいきなり主部の主題(ソナタ形式で言う第一主題)が提示されます。前半4小節がリズミックなもの、それを受ける後半4小節が丁寧に歌うもので、対照的な要素で構成されています。

 

続いて現れるのが、ソナタ形式で言う第二主題で、このようなものです。

夏の音 第二の主題

夏の音 第二の主題

主要主題に対してテンポを落として優しく演奏されます。印象的には、第二の主題というよりも経過句的な主題にも聴こえます。三部形式で考えたときには、まさに、補助的な主題と言えるでしょう。

 

もう一つ、中間部の主題(第三の主題)はこのようなものです。

夏の音 第三の主題

夏の音 第三の主題

第二主題よりメロディックで、メロウな旋律です。

 

主題操作の例

中間部の旋律がひと段落し、主題操作が行われる(ソナタ形式でいう展開部)部分においては、第二主題よりも第一主題よりも、第三の主題の方がメインで展開が行われます。

 

例えばこんな感じです。ちらっとお見せします。

展開部の主題操作1

展開部の主題操作1

展開部の主題操作2

展開部の主題操作2

青枠が第一主題、緑枠が第二主題、赤枠が第三の主題です。

第三の主題が旋律的に使われているのがわかるでしょうか?また、逆に特に、二枚目において、第一、第二主題は装飾的リズム的要素として使われているのが、同様に見て取れると思います。

最初の図においては、第三の主題と第一主題が結合されて新しい旋律が作られています。

 

この楽曲においては、コーダにおいても、同様の主題操作が行われています。ご興味がおありの方は、この3つの主題を念頭に耳を傾けてみてください。

 

ちなみに、主題操作とは主題をこのように変形させて使うことを言います。

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難易度について 通常平易なパートが難しいかも…?

出版社のページに書いてあります通り、2.5程度の見積もりです。もう少し高いかも…

(基本的に)金管楽器の超高音は避けられていますし、難しいパッセージもありません。ユーフォニアムに多少難しいものがありますが、ユーフォニアムは金管楽器の中で、例外的に木管的な動きが多用されがち。そういう宿命の楽器なので、目をつぶっていただきたく。その分美味しいんですよ。

 

どちらかというと、楽想の扱い方、表現面や、サウンドの作り方(もともと小編成用楽曲で薄く書かれている=一人一人の重要度が大編成に比べ大きい点)に難しさがあると言っていいでしょう。

 

ただ、例外もあります。

第三トランペットパートです。

 

良くあるパターンだと、金管楽器は第一奏者が高音担当で、下に行くにつれ低音でまとめられるというように作られますが、この楽曲の第三トランペットパートは真っ向から対立する概念で作られています。

 

と言いますのも、この楽曲の第三トランペットパートは楽曲を派手にする担当であるためです。

ここで使っている「派手」の意味は、高音の旋律にトランペットの輝かしい音色を付加するということを指します。

そのため、第三トランペットパートはとにかく目立つところに参戦し、休んでいる時間は実は長く設定されています。休みは多いけれどもプレッシャーは半端ないとも言えましょう。

 

「え、なんでこんな役割なのに1番じゃないの?」と思われるかもしれませんが、3番は必須なパートではないためです。

出てくれば3番が一番目立ちますが、その要素はクラリネット等高音木管楽器の補強を目的としたもので、楽曲の構造的に必須なのは1番と2番パートであります。

そう、3番は必須ではないけれども、余裕のあるバンドはこれを追加すると格好良くなるよ!というパートであります。

 

ということで、なんとなく3番は下級生…と割り振るとえらいことになりますので、ご注意くださいね。

 

たまにはこんな役割もありじゃない???

 

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